フラワーエッセンスな日々

近所に、りっぱな桃の木があります。

　今の家に引っ越して6年目になるのですが、毎年花はつけても、ろくに実らず、梅の実程度に膨らんではぼとぼと落ちていました。
せっかくきれいな花をつけるのにねえ、もしかしたらそういう品種なのかしら……と家族と話したことがあります。

　今年の春、それはただの気まぐれだったのですが、その木の幹に手をかざして、「今年は実がなるといいねえ」と話しかけたのです。

　するとどうでしょう。今年は青かった実がどんどん丸く大きくなり、直径15センチくらいのすてきな桃の実がたわわに実ったのです。
風で落ちたばかりの熟した実を娘が持ち帰ってきたので、いたずら半分で食べてみました。
それは、なんとも濃い甘みの、すばらしい出来の桃でした。

　公共の場に生えているので、よじ登って取ることはできません。
でももったいないから役所の人に言って、もいでもらおうかしら、などと面白がって話していました。

　ところが！　

　いい色に熟したなあと思っていた矢先、カラスやヒヨドリが大挙して押し寄せ、端からつついて平らげてしまったのです！　がーん。
　あとには、無残に穴の開いた桃の残骸。

　私が育てたわけではないけれど、花に声をかけて気にかけていた者としては、なんとなく腹立たしく、悲しく、そしてちょっと損したような気分になったのでした。

というわけで、きれいな桃の実の写真は撮れませんでした。がっかり。
画像は、やはりご近所のコーヒー焙煎屋さんで育てているブラックベリーです。



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